人格転移の殺人 (講談社文庫)

  • 作者: 西澤 保彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2000/02/15
  • メディア: 文庫



PISMOだったか文教堂だったか忘れたが、どちらかの本屋さんで、スタッフお勧めで積まれていた「七回死んだ男」。推理小説であるが、「バタフライ・エフェクト」のような何度もやり直し。その変わった設定も生きていた大変面白いミステリーだった。その作者西澤保彦の作品。

これも、多重人格でなく人格転移。設定が凝っている。
地球外生命体か古代文明かが残した謎の遺跡。その中に入り込んだ人間は、人格の転移が死ぬまで続く。二人で入った場合は、交互に。複数人数で入ってしまったら、時計回りに順番。他人の体に自分の心が転移してしまう。その周期はランダムである。

転移が止まるのは、肉体が滅んだ時。死んだ肉体には転移されない。例えば、俺→岡田准一→いのっち→つよぽん→キムタクという組み合わせで、その謎の遺跡に入リ込むと、俺はまず岡田准一の体となる。岡田はいのっち、つよぽんはキムタク、キムタクは俺だ。
その時に、いのっち、つよぽんの肉体が滅びると、次の俺の転移先は、いのっちとつよぽんをすっ飛ばしてキムタク。
そこで俺の肉体も滅びると、次はまた岡田准一。そうすると、俺の精神は、目出度く岡田准一とキムタクを往復することになる。
肉体が滅びる時は、転移している精神も滅びるので、最初に、岡田といのっちの精神が滅び、つよぽんが俺の時に、俺の肉体が滅びるので、つよぽんの精神も滅びる。

という設定で、アメリカのショッピング・モールに、壊すに壊せないで残っていたその遺跡。大地震が起きてそのこに逃げ込んだ男女7人の間の殺人事件。

で読んだ感想は、どうにも、あまりに技巧に走りすぎた設定であるゆえに、解釈するのが物凄く面倒くさい。巧く纏めていはいるのだが、やり過ぎの作品だ。

「七回死んだ男」も、設定が普通でないのだが、シンプルで面白かった。これは、ちょっと期待ハズレだな。
この作家の作品を続けて読むことを悩んでしまう。

お勧め度:☆☆ 技巧に走りすぎ度:☆☆☆ 俺度:☆☆

最近、本を読むペースが尋常ではなく落ちている。