2010年3月10日(水) 20:55~ 品川プリンスシネマ5
料金:1200円(レイトショー料金) パンフレット:未確認

『しあわせの隠れ場所』公式サイト

ラジー賞受賞女優がアカデミー主演女優賞を取った作品。

日本語タイトルが、ウィル・スミスの感動押し付け愚作群に似ていて、観るのをパスしたくなるものだ。が、観て正解。
原題の’The Blind Side'は、アメリカン・フットボールのクォーターバックの死角を意味する言葉で、馴染みの無い我々には理解できないもだから、日本語タイトルはやむ終えない。しかし、あまりいいタイトルでないなぁ。

不幸な生い立ちで満足に教育を受けていない黒人の少年マイケルが、保守派の南部の金持ち白人の援助を得て、高校でアメリカン・フットボールの才能を開花、教育を受けていないので、試験の点は最低ランクだったが、謎の老女の家庭教師と本人の努力もあって、奨学生として大学に入学するまでの話。

保守派の南部の金持ちとか書くと偽善者の鼻持ちならない感じがするが(偏見)、サンドラ・ブロック演じる母、亭主、娘、息子すべて人格者の家族。特に泰然自若な亭主が素晴らしい。

おまけに、教師も人格者が多い。特に、奨学生になれるかどうかの最後の試験を採点する教師、ペーパーには落第点をつけ、サンドラ・ブロックの非難を受けるが、最後の論文が良ければ評価するという。当然、結果はいいのだけれど、卒業式でのその教師の満足そうな顔は、とてもいい顔をしていた。厳しくもかつ優しいプロフェッショナル意識もある人格者だ。指導はしないんだが・・・

少年の貧乏時代の友達に関して、スポーツの優秀な若者だったが死んでしまったという新聞記事など出てきて、マイケルの明に対して多くは暗であるというシニカルな部分は忘れていない。ただの美談に納めない意識はある。彼は特別な才能に恵まれ、運のよかった少年なのだ。

なかなかいいプレーができないマイケルの才能が、サンドラ・ブロックの指導一発で開花いうのは、やり過ぎな感もあるが、笑えるシーンだから許してやろう。最初の試合で、その教えは生きてくるし。

NFLのオフェンシブラインであるマイケル・オアーなる男の実話。既に活躍している選手の話だろうと思っていたら、何と2009年ドラフト1位。活躍する前に製作された作品だ。無事にマイケル・オアーは活躍しているようだ。

実は、一点大きな勘違いをして、この作品を観ている。
冒頭、クォーターバックが後ろからサックされ死亡してしまうという映像が出てくる。
その後に、物語の中盤にある女弁護士みたいな人にマイケルが調査で詰問されるシーン。
順当に活躍したマイケルが試合で強烈なタックルで死に至らしめ、詰問されるのかと想像。
実際は、進路をミシシッピー大学に決めたことを詰問されたのであった。
でもって、あの映像は何だったのだと、悩んで調べたところ、やっと正解を発見。
Number Webの「オアーとテイラーの皮肉な関係。~映画『しあわせの隠れ場所』とNFLの伝説的スーパースター~
クォーターバックが死亡しているのは、死角からのサックのためで、この事故以来ブラインド・サイドを守るポジションが重要になったとのこと。で、マイケル・オアーはこのポジションの選手である。ディフェンスの選手で無いので、クォーターバックをサックするはずがない。マイケル・オアーが重宝されたのは、このポジションは重要視されたからだったのだ。冒頭の映像とサンドラ・ブロックのナレーションの意味をやっと理解。
判らなかったことが恥ずかしくて悔しいが、解答を見つけてすっきりした。

泣きそうになったシーン。
義理の妹が、図書館(?)で一人で本を読んでいるマイケルのテーブルに、一緒にいた友達を置いて移ってきたこと。「いつも、一緒に勉強しているでしょ。」と怪訝な顔のマイケルにそっけなくいうところがいい。
試合でマイケルに反則の疑惑の判定。「選手は俺の息子だ!」と審判にコーチが激怒。怒り狂うコーチをマイケルがおさえ、「コーチは、俺が守ります。」

唯一気になるのは、マイケルの黄色と黒のラガーシャツに、義理の弟SJが、「ハチみたいだよ。」
バンブルビーって言っているんですけど。蜂じゃなくてトランスフォーマーだと思うのだが。

「オールド・ルーキー」の監督の作品らしい、心温まる家族愛スポーツ映画。

エンド・ロールの実際の家族たちの写真が実にいい。

お勧め度:☆☆☆☆ タイトル駄目度:☆☆☆★ 俺度:☆☆☆☆