SSブログ

オフシーズン [書籍]


オフシーズン (扶桑社ミステリー)

オフシーズン (扶桑社ミステリー)

  • 作者: ジャック ケッチャム
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2000/09
  • メディア: 文庫



鬼畜系作家ジャック・ケッチャムを初めて読んだ。
と言っても、その存在は、最近シアターN渋谷で上映された鬼畜系映画「隣の家の少女」で知ったのだが。
キングとクーンツそれぞれと一歳違いだそう。どっちが上で、どっちが下か忘れたが、素晴らしい変態世代だ。

孤島で見捨てられた幼い子供のなれの果ての食人族と、都会の社会人、おまけの田舎の警察官の戦いの話は、1981年に刊行された。何を最初に読むかアレコレ考えた末に、偶然、このジャック・ケッチャムの処女作を手に取ったのだ。

この作品、当初の出版時に、ただでさえ鬼畜な内容であるからと、編集者によりかなり改変を余儀なくされたそうだ。その改変は、エグイ表現だけでなく、作品の内容に深く絡むところまでも。おまけに、出版社に「良識のある」人々から苦情があったとのことで、最初の少しの印刷後は、増刷も無く、そのまま消えていったそう。気合の足りない出版社が自主発禁。

本作は、ケッチャムのオリジナルに忠実と言われる1995年出版のイギリスのペーパーバック版の翻訳となっている。
ハマープロダクションの国は、残虐ホラーに寛容なんですか?日本の鬼畜系映画は上映中止が多いけど。

俺の読んだ翻訳本は、オリジナルに忠実ということで、ストーリー本編以外にケッチャムや解説者から当時の舞台裏が書かれている。これが、本編の前後にあるから、こんな鬼畜作品を読む狂った人は、冒頭の解説はすっ飛ばして、本編を読むように注意したほうがいい。ネタバレ全開なので。

話としては、出版した当時を考えると「悪魔のいけにえ」「サランドラ」から食人の影響を受け、襲い掛かる様は「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」となるのだろう。インタビューで、ケッチャムはそう語っているし。
しかし、文章を脳内で映像化すると、「ヒルズ・ハブ・アイズ」、「ホステル」をとても酷くしたようなスプラッタである。アレクサンドル・アジャかイーライ・ロスしか映画化できないだろう。

最初から狂っている食人族だけでなく、すべてのの人間が狂っていくのが見事だ。

主役が、女1→男1→男2→女2→警察署長と、変わるのがトリッキーである。何のトリックもないけど。

嫌な話だが、一気に読ませる勢いがある。話の半分は人物紹介みたいで、食人族の大暴れは半分以降だけど。食人族の紹介の意味で、冒頭最初の10ページくらいは登場。本格的な登場が遅いのは、「まだか。まだか。」とイライラした。

この文庫が出版された2000年は、ジャック・ケッチャムは知る人ぞ知るで、アメリカでは高級ハードカバーが出版されるマニア相手、ペーパーバックは無いという存在だったらしいが、今や日本の文庫で多数入手可能。

この鬼畜作家にハマリそうな自分が嫌だ・・・
一時期クーンツをひたすら読んだが、あの人の作品は基本的にハッピーエンドだった。この鬼畜王の作品は、そうでないらしい。

それにしても、署長が「ひとりは、連れ去られた。」と言っていたのに、「少なくとも二人は連れ去られた。」と20ページ後に推理が変わっているのが、すごく気になる。読み返しても、推理の転換を裏付けるものがない。

お勧め度:☆☆☆★ スプラッタ度:☆☆☆☆ 俺度:☆☆☆★
勿論好事家にしか勧めない。




続編の「襲撃者の夜」の予告編発見

監督は、アジャでもロスでもなくAndrew van den Houtenとかいうココアみたいな名前の奴。期待できそうもないフィルモグラフィー。
しかし、何で1作目を飛ばして、2作目からなんだ?


襲撃者の夜 (扶桑社ミステリー)

襲撃者の夜 (扶桑社ミステリー)

  • 作者: ジャック ケッチャム
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2007/05
  • メディア: 文庫



「ヒルズ・ハブ・アイズ」や「ホステル」みたいのなら平気だが、未だこれを観る根性が無い。



隣の家の少女 (扶桑社ミステリー)

隣の家の少女 (扶桑社ミステリー)

  • 作者: ジャック ケッチャム
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 1998/07
  • メディア: 文庫


↑実話にインスパイアされているそうだが、「オフシーズン」にも似たような実話がある。


タグ:ホラー
nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(1) 
共通テーマ:

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。